IMITATION LOVELESS -Remember-
「……姫様?」
「……?」
優夜と刹那は表情を歪ませる。
何かに、悩んでいるような表情だった。
「優夜、刹那、…おねがい…殺して?」
憐が寂しげで儚げな顔で二人を見上げる。
心から 二人にすがっているように憐は瞳を揺るがす。
「…わかった 殺してやる」
「せ…つな…」
刹那は憐を抱き寄せると頭を撫でる。
耳に擽るように囁きながら自らの手を憐の手に重ね合わせる。
「もう少し…その時が、来たらな…」
「その時って…?」
刹那が憐から離れる。
優夜は刹那の言っている意味が伝わらず、首を傾げている。
刹那は口元で人差し指を立てて合図する。
「秘密だ」
刹那は一瞬だけ微笑むと扉に向かって歩き出す。