IMITATION LOVELESS -Remember-


「……姫様?」

「……?」


優夜と刹那は表情を歪ませる。
何かに、悩んでいるような表情だった。


「優夜、刹那、…おねがい…殺して?」


憐が寂しげで儚げな顔で二人を見上げる。
心から 二人にすがっているように憐は瞳を揺るがす。


「…わかった 殺してやる」

「せ…つな…」


刹那は憐を抱き寄せると頭を撫でる。

耳に擽るように囁きながら自らの手を憐の手に重ね合わせる。


「もう少し…その時が、来たらな…」

「その時って…?」


刹那が憐から離れる。
優夜は刹那の言っている意味が伝わらず、首を傾げている。

刹那は口元で人差し指を立てて合図する。


「秘密だ」


刹那は一瞬だけ微笑むと扉に向かって歩き出す。


< 88 / 184 >

この作品をシェア

pagetop