嘘みたいな恋模様
1章
最悪!!
~隼人 side~
「早く席つけー。今日は転校生を紹介する。」
この時期にか?
「こんな時期に珍しいねぇ~」
女のような可愛らしい声の主は、隣に座る早乙女瑠威。
同じこと考えてたのかよ。
「まぁ、あんまり興味無いんだけど。」
「瑠威、隼人、少し静かにしろ。先生が見てるぞ?」
不意に後ろから聞こえた落ち着いた声は、篠塚迅。
あ、俺は野村隼人な。
俺達3人は、まぁ、あれだ。
世間から見れば、イケメン集団って言ったとこだ。
3人とも中学はばらばらで、高校に入ってから知り合った。
この春に入学した俺は、この顔のせいで女しか近づいてこなかった。
中学から続くそれには、さすがに慣れてるけど。
でも、この森城学園に来てからは違った。
俺のような男があと2人いたんだ。
それが、迅と瑠威。
女達から逃げてるときに、ばったり3人一緒になったんだ。
しっかし、本当に珍しいな。
今は5月の初旬。
こんな時期に転校するなんて、運がねぇヤツだな・・・・
「・・と・・隼人!!」
「!?・・・悪い。」
「何ぼーっとしてんの!?もうすぐ来るよ、転校生♪」
瑠威の言葉で、はっと我に返った俺は、教室の前のほうでなにやら話しを続けている担任に目を向ける。
「それじゃ、雪代。入ってこい。」
"雪代"と呼ばれたヤツは、担任の声とともに教室のドアを空けた。
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