嘘みたいな恋模様

~紫苑 side~

「それじゃあ、空いた席に・・・」

私の隣に立っていた担任は、ぐるりと教室を見渡す。

すると、一番窓側の列の後ろから2番目に座っていた男の子が手を挙げた。

「せんせーい、ここ、空いてまーす♪」

教室の隅に目を向けると、そこは周りとは少し違う雰囲気があった。

明らかにおかしい。

他の生徒さんたちは、列ごとに男女別で座っているのに、一番後ろのとこだけは、男子3人が固まって座っている。

手を挙げたのは女の子みたいで可愛い顔の男の子、その隣に座っているのはすっごく顔の整ったイケメンの男の子。

そして、可愛い男の子の後ろには、長身で短髪な男の子が座っていた。

まぁ、見事に美形揃い。

ここまでくると感動だね。

って、私にあの中に座れっていうの!?

冗談じゃないっ!!

先生だって反対するだろうし。

「お、そうか。雪代、じゃあ、あそこの席に座ってくれ。」

おいっ!!!!

普通反対するんじゃないの!?

先生が指さした先は、窓側から2列目の一番後ろ。

つまり、左、斜め左前、前があのイケメン集団に囲まれてるってこと。

嫌嫌っ!!

そんなの絶対にっ!!!

と、思いつつも断れないのが、私の悪いところ。

「わかり・・・ました・・・」

ぎこちない返事をしつつ、私は地獄の席(!?)へと向かった。

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