それは舞い散る桜のように
目覚め
目が覚めると、真っ白な天井だった。
あれ?うちの家の天井ってこんなだっけ……。
……そして、誰かに優しく手首を捕まれている、感覚。
「えぇ……大丈夫です、脈も正常……。あ、目、覚めた?」
「……?」
視界に知らない男の人が映った。
ーものすごく色白で……綺麗な人……。
ゆっくりと、重い頭を持ち上げる。
……瞬間、鈍い痛みが走って、思わず頭に手を当てる。
「あ……寝てていいよ。まだ、痛いよな」
申し訳なさそうに彼はそう私に言った。
……白衣……着てる……。
医者、なのかな……?
ーその隣にはお母さんがいて、少し心配そうに私を見ていた。
薬の匂いが鼻をかすめて、そこでようやく自分が病室にいるんだと気づく。
「倒れたのは、単に血が出て、軽い貧血みたいになっただけですね。頭は派手に出血しますから。……安心してください」
「すいません、御崎先生」
「いえ。むしろ謝るのはこちらのほうですから。後で理緒にも謝りに来させます」