うそつき
「どうしたん?また聞きにきてくれたとか?」

昨日とおんなじ調子で明るい調子で喋りかけてきてくれた。一方のうちは、昨日よりも緊張が溶けた、というより早くさっきの曲の続きが聞きたくて、声も震えずに普通に答えれた。

「はい。昨日聞いた曲がとても素晴らしくて、また聞きたいなと思って来たんです。」

隣のベンチは昨日と違ってギターのケースは置いてなくて、ギターケースは彼の足元に小さく収まってた。
彼に促される前に、うちは隣のベンチまでためらわずに行って、腰かけた。ここに座れば昨日みたいにまた弾いてくれるやろうと思ったから。
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