うそつき
「あ、俺ね、二宮まことって名前やねん。16歳。こっから家が近くてさぁ、人が少なくなった頃を見計らって、いつもここでギターの練習しててん。もうかれこれ半年くらい通ってるかなぁ。そんでそんで、キミ、6月の初めくらいから図書館来はじめたやろ?こっからやったらわかれへんけど、ちょうどあのへん、滑り台の上とか上ったら図書館の中まで見えるんよ。で、ほんまに絵に書いたみたいな中学生やなって思って、ちょこちょこ覗き見させてもらっててん。…あ、俺別に変態とかとちゃうで!なんかいかにも優等生ですっていうのがカッコよくて見ててん。それがさぁ、いつもみたいに日が暮れかけてからこの公園来てみたら、俺の特等席にもう既に人がおって、それがキミやったから、なんかおもろいなぁと思って。その日、妙にウキウキしてしもて。でも、ギター上手くないし、誰かに聞かれるんとか恥ずかしいやん?だから、次の日からは図書館にまだちらほら人おるけどしゃあないかーと思ってベンチ陣取ってたら、またキミが来てん。なんかおもしろくない?」