うそつき
「俺の事ねぇ。俺の事って言われても特になんにもないねんけどなぁ。」

珍しく彼の声が淀んでた。

「ただ、これ作った時はとにかく楽しかったな。作るのにも時間かかれへんかったし。なんていうんかなぁ。ほら、新学期になって転校生が来て、そのコがめっちゃおもろいコやったって感じかなぁ。それのもっとランクの高いバージョン?俺、ほんま文才ないからなんて言えばいいのかわからんけど。ワクワクの最上級って感じやな。楽しくて楽しくて、そんで早く智子ちゃんに聞かせたかったなぁ。」

そこまで一気に言うと、彼はちょっとしまったって顔をして、照れ笑いをした。
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