うそつき
それでも、二宮さんはめちゃくちゃ優しかった。この重たい空気を全部吸い込んでくれたみたいにして、またいつもみたいに明るい声で言った。

「ごめん、ごめん。キモい話してごめんなぁ。聞かんかったことにしてや。智子ちゃん受験生で忙しいもんな。毎日こんなとこに来て、俺みたいなやつの相手してんのしんどいやろ?そやから、これからは勉強に集中しってば。あ、それから詞、ほんまにありがとうな。あの詞に合わせて曲作ってみるわ。智子ちゃんに聞かせてあげれるかはわからへんけど。」

この明るい声が、余計悲しくさせた。こんな事せえへんかったらよかった。こんなん、いくら後悔してもしきれへんよ。
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