うそつき
うちが声をかけるより先に二宮さんの方が気づいて

「智子ちゃん?どうしたん?勉強ばっかで疲れたから、気晴らしにでも来た?」

何事もなかったかのように、笑いながら話しかけてくれた。いつもの二宮さんや。
でも、隣のベンチにはギターケースが置いてあって、座れる状態じゃなかった。

「いえ、約束の詞が出来たんで、見てもらいたいんです。うちは、二宮さんの事が好きなんです」

ちょっと震えた手で、詞を書きとめたメモを渡した。
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