う さ ぎ
幸いなことにけのビルの屋上にはフェンスなんてものはない。
目をつむり、深呼吸をした。
ドラマやマンガだったらここで過去のこととか思い出したりするのかもしれない。
でも「死にたい」それがあたしの望みだから。
足を一歩ずつ前にだし、目を開けた。
あとすこし前に出ればあたしは下に落ちる。
「いけ。」
強く目をつむった。
何故か下に落ちない。
確かに落ちるように前に歩いたはず。
誰かに腕を捕まれている…?
そっと目を開けた。
足元に地面はなく、この腕を離されたら落ちてゆくだろう。
そっと浮いていた体を引き上げられた。
そこには少年が一人いた。