う さ ぎ
学校に着いて教室に入る。
誰も気付かない。
「おっはよー♪ゆず〜。」
だけどのぞみだけは気付く。
「おはよう。今日も朝っぱらからテンション高いね。」
「まあね〜。ゆずは今日も地味に決めてきたね!」
のぞみは知ってる。あたしがわざわざ地味な格好をする理由を。
席についてカバンの中からノートを取り出す
「ねぇ。なんかあったの?」
「え?…なんで?」
「んー…。なんか今日のゆず暗いよ。」
「暗いのはいつものことでしょ?のぞみだってわかってると思うけど。」
のぞみはあたしのノートを写しながら言った。
「うーん。なんか違う。ぇえっと…ゆずの演技で暗いんじゃなくって…ゆず本人が暗いっていうかー。なんて言ったらいいのかわからないけど、とにかく何かあったでしょ?」
「べ…別に何もないよー。」
言えるわけがない。
死のうとしたことなんて。
のぞみとは小学生のときからの友達。
やっぱりいろいろと気付かれてしまう。
「そう?ならいいけど。」
「それより、もう席戻ったほうが良いんじゃない?地味なあたしと絡んでたらのぞみのイメージも地味になるよ〜。ほらそのノート貸すから!」
そう言うとしぶしぶのぞみは自分の席に戻った。