明日もキミの、そばにいたくて。

しばらく眺めていると、ふいに思い出した。
そういえば、この桜の木にはよくある言い伝えがあった気が……。
思い出せ、思い出すんだ凛!

そうだ!
この桜の木の下で結ばれたカップルは、永遠に一緒にいられるっていう言い伝えだ。
智晴と二人きりの今こそ、最大のチャンス。
私は大きく息を吸って、智晴を呼ぼうと思った。

――でも。
なかなか言い出せない。
何やってるんだ、小宮凛!
今しかチャンスは無いのに!
もう一度深呼吸をする。

「ともは……」
「腹減ったから帰るぞ、凛」

は?

智晴は私に構わず去っていく。

ああ、またもたもたしてるから。
本当に何でこんなに意気地なしなんだろう。
もう、一生お父さん恨んでやるんだから。


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