彼ハ知ラナイ【短編・完】
「皐月ちゃん!」
高くて心地好い声が耳に届く。
「おはよう。」
寝不足なあたしとは反対に朝から血色のいい明るい笑顔を振り撒く彼女。
「…おはよ、優衣。」
「学校まで一緒に行こ?」
「…ん。」
学校のマドンナとも謳われる彼女は。
顔よし、スタイルよし、性格よし。
おまけに普通の運動神経やその他諸々の才能も持ち合わせている、マンガみたいな女の子。
「山本くんはいいの?」
「弘くんは、今日は遅刻なんだって。」
そのうえ彼氏もいて、幸せいっぱいなのだ。