彼ハ知ラナイ【短編・完】
夜中の4時半に家に帰り着くと、リビングの中はぐっちゃぐちゃに散らかってた。
はあ。
と深い深いため息が出た。
毎日毎日、よく飽きないな…
散らばったビール缶。
タバコの吸い殻が落ちた床。
割れてるのは灰皿と…皿と…ああ、写真立てだ。
片付けても片付けても、帰ってくれば元通り。
それでもあたしはこの家を片付けるんだ。
辛くて辛くて辛くて。
耐え切れなかった涙が一粒。
誰も見ていない夜中のこと。