私立聖ブルージョークス女学院2
 試験は何とか出来た方だと思うのだが、近年は公立学校の教師の採用試験は競争倍率が高いので結果は環自身には予想もつかない。
 とにかく私立聖ブルージョークス女学院に戻り、二日ぶりに職員室のドアに手をかけると中から片山の憤然とした大声が響いて来た。
「それじゃ僕の、男の一分が立たないんです!」
 どうやら片山が受け持っている選択科目の単位が取れないまま卒業しようとする生徒がいて、片山は追試かレポート提出で何とか単位を摂らせようとしたのだが、落としても卒業に支障はない単位なので、その生徒は全くやる気がない。
 他の教師に「そこまでしなくても」と言われて、ついそう叫んでしまったという事だったらしい。先輩らしいと言えば、先輩らしい、こういう所は良くも悪くも変わっていないな、と環は心の中で思った。ふと視線に気づいて振り返ると、ドアの隙間から小柄な女生徒がのぞき見しているのに気づいた。あれは九条院若菜、片山のストーカーだ。やれやれ、また何かしでかさなきゃいいけど、と環は思った。
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