私立聖ブルージョークス女学院2
 だが、いざ集会が始まって生徒が意見を声に出し始めると、片山もの方が焦って冷や汗まみれになってしまった。生徒たちが提案した競技は……
「男女混合リレー!」
「男女混合騎馬戦!」
「男女混合ビーチバレー!もちろん水着で!」
「ちょ、ちょっと待ちなさい!」
 たまらず片山が大声で生徒たちを制す。
「うちが女子校だという事を忘れたのか?どうして男女混合ばかりなんだ?」
「だって先生」
 男女混合ビーチバレーを提案した子が立ち上がって不満そうに言った。
「今年の運動会は昇天日に合わせたんでしょ?」
「いや、それはその通りだが……」
 意味が分からず絶句してしまった片山を押しのけて、環は演壇に立ちマジックペンでホワイトボードに書いた。
「主の昇天日」
 そしてその下に英語で「Ascension Day」とさらに大きく大書した。それから会議場の生徒全員に向かって言った。
「昇天を英語ではこう書きます。この単語、アセンションというのはね、今いる所より高い所へ行く、という意味です。昇天日というのは、イエス・キリストが一度十字架で処刑されて死んだ後、また生き返って弟子たちに教えを説き、改めて天に昇った日、という事。人間界から、神の世界と言う高い所へ昇った。そういう意味です」
 ここで環はひとつゴホンと咳払いをし、声のトーンを思いっきり上げて続けた。
「だから、あなたたちが今考えている『昇天』とは、多分、いえ絶対に、意味が違ってます!イエス様を怒らせて神罰落とされたくなかったら、いいかげん女子だけで出来る競技を考えなさい!」
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