甘い秘密をそっと教えて?
ふと壁にかかる時計を見る。
そんな気配に気づいたのか彼はこちらを向くことなく答える。
「もうすぐ終わるから…。
終わったら今度はヒカリの友達の…、
広島だっけ?調べるよ」
アタシは何も答えずこっちを向いてくれるのを待つ。
もうそういうの、いい。
いらないから。
あーあ、
全然オトナじゃないな、アタシ。
テーブルの上の雑誌。
難しそうな経済誌とか英語で書かれた外国の旅行?のような雑誌とか。
手にとってぺらぺらめくってそのまままたそっとテーブルに戻す。
静かな部屋に彼がパソコンのキーを叩く音と時計の秒針の音だけが聞こえる。