大切なもの
だけど、口を抑えるだけで、精一杯で。

手が、足りなくて。

ずっと、ずっと。
2人のやりとりを、聞いていた。
ううん…

聞かされていた。

「あ…!颯く…」
「亜弥、かわい…」

辛い、辛い、辛い…!

「ちょ、颯くん!ここ、学校…っ」
「いいじゃん」

苦しい、苦しい、苦しい…!

もう…嫌っ!!

耐えきれそうになかった、その時…

ガラッと、扉が開いた。

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