大切なもの

樹は、力強く、私を抱き締める。

「沙和が颯太と付き合って笑顔でいれるなら…俺はそれでいいと思った。
けど…。お前、泣いてばっかじゃねぇか。
辛くて、苦しい思いばっかじゃねぇか。
お前が笑顔じゃねぇなら…俺は、遠慮なんてしねぇ。
沙和、俺は沙和が好きだ。沙和を、笑顔にする。
沙和の笑顔を、一番近くでみたい。
颯太なんてやめて…俺にしろっ」

樹は…ずっと、私を好きでいてくれてたの?


嬉しい。

すごく、嬉しいよ。


だけど……。



樹と付き合うことは、できないよ…。


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