大切なもの
side樹


移動教室で、化学室へ行く時だった。

前方に、沙和と田原がいる。
沙和…ふらついてる?
と、心配していた時だった。
沙和の体がフラつき、階段から落ちそうになったのは。

「沙和っ!!!!」

俺は間一髪で、沙和の腕を掴み、俺のほうへ引きよせた。
「っぶねー」
「野上、大丈夫!?」
「あ、あぁ。沙和は…って、おい、沙和!」
「え、沙和?ちょ、この子…熱あるっ」

やっぱ、無理したか…。

「このバカが…っ」
俺は沙和を姫抱っこした。
「の、野上…?」

田原はポカンとしている。

「田原、悪いけど、先生に俺と沙和保健室って言っといて」
「あ、うん…」

俺は沙和を連れ、保健室へ向かった。


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