大切なもの
俺はカーテンをあけ、颯太と女を追い出した。

そして…沙和のいるベッドのカーテンを開ける。

そこで、俺が目にしたのは…

「っ!!」

涙をたくさん流し、両手で口を覆っていた沙和の姿。
きっと…声を漏らさないようにしていたんだろう。

「いつ…っ」
発せられた声は、辛そうで。

俺は、無意識に…

沙和を、抱き締めた。


抱き締められずには、いられなかった。


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