大切なもの
新しい隣
静かな保健室。
カーテンで仕切られたそこには、私と樹だけがいた。
「いつ…き」
痛いほど伝わる、樹の想い。
だけどね、その想いに、応えることなんて…できないの。
「ごめん、樹…。樹の気持ちは、嬉しいけど…。
私は、まだ…颯太の事、諦め切れてないから…」
「だから、俺とは付き合えない?」
「…うん」
中途半端な気持ちで付き合うことが、どれほど辛いか。
どれほど、痛いかなんて…
私が、一番知っていることだから。
そんな思い、させたくないの。
「どうせお前、中途半端が一番ダメとか思ってんだろ」
「っ、」
「自分が一番そのこと分ってるって思ってる?」
なんで…
全部、わかるの。