大切なもの
その後、私は樹に家まで送ってもらった。

熱で辛いから、樹に寄り添いながら。

「今日は、ゆっくり休め。で、明日…笑顔で、学校来い」
「うん。ありがとう、樹」

笑ってみせると…

おでこに、樹がキスを落とす。

「今は、そこで我慢。風邪ひいてるのもあっけど…。
やっぱ、そこには沙和が俺を好きになってくれたときに、したいから」

そう言いながら、樹は唇を指差す。

「っ、」

バカ…。
熱、上がっちゃうじゃん…。
「じゃぁ、おやすみ。沙和」
「…おやすみ」


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