大切なもの
side樹


女なんて、嫌いだった。
わざと出す、甘く高い声。
香水のかけすぎた臭く甘い匂い。
外見だけ、見るとこ。

すぐに、裏切る…とこ。
全て、嫌いだ…っ!


女なんて、いらねぇ。



そう思って、いた。



思って、いたんだ――……。


あいつに、会うまでは。

あいつは、


俺を変えた。


俺を、暗闇から救ってくれた。








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