大切なもの
市川はどちらかといえば可愛い系。
白い肌、クリクリの瞳、長い栗色の髪。
とても細く、華奢な体。
もしかしたら、俺は気付かないうちに惹かれていたのかもしれない。

休み時間になると群がる女子たち。
このクラスの女子2人以外は、俺のとこに来た。
その2人のうちの1人が、市川沙和。
チラッと市川を見ると――……
前の席の男子とじゃれていた。

なに、コイツ。


男好きなわけ?

そう思った俺が、恥ずかしくなる。


「うぜぇ」

そう言った瞬間、教室が静まり返った。
女子は怒りに満ちた顔をし、市川はポカンとしている。

あれ、俺……

なんで、市川のことばっか見てんの?





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