大切なもの
次の日、亜弥と一緒に登校する。
「おはよ、颯くんっ」
「はよ、亜弥。ふぁー」
「あれ、欠伸?颯くん寝不足?」

俺の顔を覗き込みながら訊ねる亜弥。

「んや、大丈夫」
「無理しないでね?あたしの颯くんになんかあったらイヤだもん♪」
「ありがと//」


――…ほら、全然疑う必要ないじゃないか。

亜弥は、こんなにも……俺を思ってくれているじゃないか。


もう…俺だけが好きとか、そんなんじゃねぇ。

「ねぇ、颯くん。あたしのこと、好き?」
「好きだよ、めちゃくちゃ好き」
「フフッ」

この笑顔を信じたい。

そう、思った。

……思った、のに……。

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