大切なもの
放課後、亜弥の教室へと向かう。
もうほとんど生徒はいなかった。

ドアに手をかけようとしたとき、
「亜弥、最近颯太くんとどうなの?」

俺の名前が聞こえたので、開けようとした手を止める。

「ん?知りたい?」
「知りたい知りたい!」
「あいつさー、ほんっと学習能力ないわ」

そんな亜弥の声が、聞こえた。

「中学の時、“重い”って振ったのにさ~。
今も重いんだよねー。亜弥亜弥~って」
「可愛いじゃん、そういうの」
「愛されてるって感じしない?」
「え~~?まぁ、好きって言われて悪い気はしないけどぉ。
こっちは全然好きじゃないしぃ♪」

……え?

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