大切なもの
「沙和……」
「樹…!」

樹は目を大きく見開いたと思ったら、優しく…笑った。

「沙和、よかったな」
「…え?」
「俺は、お前が笑顔でいれる場所にいてほしい」

ねぇ…樹はなにを言ってるの……??

「お前がずっと望んでいた場所…。
それは…颯太のところだろう?」
「樹「さよなら、沙和」

そう言って樹は去っていった。

「待って、樹…っ!」

颯太を振り払い、樹を追いかけようとしたら……

また、手首を掴まれた。

「行かないでくれ、沙和…っ」
「…え?」
「亜弥に離れられて…。
沙和まで離れてしまったら…俺…どうすればいいんだ…!」
「颯太っ」
「頼む……傍に、いてくれ……」

颯太のこの手をふりほどけない。

ふりほどけない私は……なんて愚かなんだろう。

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