大切なもの

離れた距離

私は一睡もできず朝を迎えた。

「学校…行きたくないよ……」

樹に、合わせる顔がない…。
でも…行かなくちゃ…。

「行ってきます…」

いつもよりも遅い時間に家をでた。
重い足取りのまま…学校へ着いた。

教室に着いたのは、朝のHRが始まる5分前。
もう、樹も颯太も来ていた。

「沙和っ、はよ」
颯太が笑顔で話しかけてくる。

「おはよ、颯太」


――……私と颯太は、付き合っていない。


考えて、と言われたからだ。

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