大切なもの
「沙和?」

声をかけられたので顔を後ろへ向ける。
「あ、樹」
「あ、おい!危ねぇっ」

え?
前へ視線を向けると、大量の本がぐらついていてバランスを崩した私に本が倒れてきた。
「キャッ」

驚いて階段から滑ってしまい、ほんとにやばい。
って思っていたら…

バサバサッ

バンッと頭に本が当たった。
だけど、一向に階段からは落ちない。

「あっぶねぇな」
「あっ…」

樹が後ろから抱き留めてくれたようだ。
「ご、ごめ…っ」
「大丈夫か?」
「う、うん」
踊り場が近くだったので、本を集めいったん踊り場に置いた。
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