大切なもの
「なっ、なに?颯太」

ニコリ、笑ってみせると…

「…。早く行こうぜ。昼休み、終わっちまうぜ」
「あ、ホントだ。ごめん。急ごう」

私、ホントなにしてんだろう…。


前向きに考えようとしてるのに。


ずっと、こんなうじうじして。


こんな状態、ダメだって分ってるのに。


ハッキリしない自分が……



惨めで惨めでしょうがない……。


ずっと。ずっと。



樹の優しい笑顔が。


颯太の、震えていた声や手が。


頭から、離れない。

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