大切なもの
「野上くん、なに飲む?」
自販機の種類はたくさん。
カンやペットボトルのやつ。
紙パックのやつ。
紙コップのやつ。
アイスのやつ。
「コーヒー」
「りょーかい♪」
私がポケットからくまの小銭入れを出すと…
「自分で出すからいい」
「へ?あ、うん…」
野上くんは100円を入れ、紙コップのコーヒーを買った。
「どれにすんの?」
えっ…?
「…飲みもん」
「あ、イチゴミルク…」
私がそう言うと野上くんは100円を入れ、紙パックのイチゴミルクを押した。
「…ほら」
ぶっきらぼうに差し出されたそれ。
「ぁ、ありがとう…」
私は少し戸惑いがちに受け取った。