大切なもの
「野上くん、なに飲む?」
「コーヒー」
たくさんの自販機の中から俺はコーヒーを選んだ。
「りょーかい♪」

そう言うと市川はポケットから小銭入れを出す。
いや、さすがに女に奢らすのはまずいだろ。

「自分で出すからいい」
そう言うと市川は…
「へ?あ、うん…」
キョトンとするから、おもしろい。

「どれにすんの?」
そう聞くと、何を言っているか分らない様子の市川。

「…飲みもん」
「あ、イチゴミルク…」

俺はそれを聞くと100円を入れてボタンを押しそれを市川に渡す。

「ぁ、ありがとう…」

素直にそう言った市川を…


愛しいと思った俺はどうかしてる。



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