大切なもの
飲み物を飲み終え、再び校内を回った。

「最後に、ここが保健室」
独特の匂いが漂う保健室。

「なぁ、どうして俺が女嫌いか、聞かねぇの?」
どうして俺は、こんなことを言っているんだろう…?

「前の学校だと、うぜぇくらいになんでだ?って聞かれた――……」

「…野上くんが、聞かれて嫌だと思って。
それに、なにか理由があるんでしょ?
野上くんは、理由もなく人を嫌いになる人には見えないから…」

どうして、こいつはこんなにも優しく、温かいのだろう…。

「っ、俺、さ……中学の時までは、普通だったんだ」

俺はいつの間にか、話していた…。
昔の、俺のことを。

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