大切なもの
「まだ、颯太…来てない…っ」
ねぇ、私は…バカなのかな。
まだ、颯太は来ると信じている私は…
どうしようもない、バカなのかな…?
だけどね、
来るって、信じたいんだ。
…信じたかったんだ。
「沙和、颯太は来ねぇよ…!」
「来るもん!だって、颯太から誘ってくれたんだもん…!」
こんなこと言う私は、なんて聞きわけのない子なんだろう。
樹を、困らせるだけなのに…。
「沙和っ!」
樹は私の腕を掴み、立たせた。
「何時間待ってんだ!
このままここにいたら、
お前が壊れる…!」
「やだぁ…!颯太、言ったもん!
ちゃんと、来てくれる…!」
「沙和!!」
「っ…」
「っ、沙和?…沙和っ!!」
クラッとふらつき、私は倒れた。
樹が私を抱きとめてくれたところで…
私の意識は、なくなった。