大切なもの
目が覚めると…

手元に、温かいなにかを感じる。

体を起こし、見ると…

「え?」

樹が、ベッドに体を預け眠りながら私の手を握っていた。

「ん…、沙和!」
バッと起きあがる樹。
「沙和、具合どうだ?」
「あ、もう…だいぶ良くなってるみたい…」
「よかった…」

ほっとする樹。

「ご、ごめんね…迷惑、かけて」
「心配した。だけど、俺はごめんなんて言葉、いらねぇよ。
ごめんって言われるより、ありがとうのほうが嬉しい」

樹……。

「ん、樹、ありがとう」

どうして、そんなにも温かいの?





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