大切なもの

哀しみの保健室

「ゆっこ、おはよ」
「あ、沙和!おは……」

ゆっこから笑顔が消える。

「…なにかあったの?」
「…えっ」
「…メイクで隠せると思った?」
「……っ」
「…言いにくいこと、なんだ?」
「…うん…。言っちゃったら…また、泣いちゃいそうで」
「…野上は、知ってるの?」
視線を樹に移すゆっこ。

樹は私に言ってもいいのかと、顔を伺う。
私はコクリ、頷いた。

「……知ってる」
「沙和、野上に、聞いてもいいの?」
「うん、いいよ…」
「んじゃぁ、屋上行こう」

私たち3人は、屋上へ向かった。

向かうまでの間、

誰も話そうとはしなかった。


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