龍とわたしと裏庭で①【加筆改訂版】
「ええと、確かに結婚って話は出てるけど……婚約はしてないよ?」


「じゃ、お姉ちゃんはどうして圭吾さんと別れたの?」


知らないわよ~


「わたしのせいじゃない事は確かよ。ここに来るまで圭吾さんに会った事ないもの」


「信じらんない」


竜田川美月はわたしの横にドサッと座った。

信じらんないのはこっちだけど


「彩名さんは、圭吾さんが家の仕事で忙しくなって自然消滅したように言ってたよ」


「あの二人、すごく仲よかったんだよ」

美月はハァーっとため息をついてうなだれる。


「結婚決めるくらいだもの、校長の方がいいって事じゃないの?」


「圭吾さんの方がいいよぉ」


それはあんたの意見でしょうが!


「で、噂を信じてわたしが婚約者だと思ったんだ」


「うん。本当に従妹なの? この辺で見たことない気がするんだけど」

< 103 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop