龍とわたしと裏庭で①【加筆改訂版】
どこか懐かしいような笑顔――ああそうだ

ママの笑顔だ。

小学生の時に病気で逝ってしまったママは、どんなに苦しくてもいつも笑顔を絶やさない人だった。


「彩名さん、彩名さんのアトリエって見せてもらっていいですか?」

彩名さんともっと話したくて、わたしは思い切って言ってみた。


「もちろんよ! じゃあ、下でコーヒーでもいただきましょう」


わたしは荷物を部屋に置いて、彩名さんの後について廊下に出た。


彩名さんの部屋は廊下を挟んで斜め向かい側。


他にもドアがいくつかあって、その間に一階へ下りていく階段がある。


三階へ行く階段ってどこだろう?

ちょっと気になったけど、わたしが使う事はないからと思ってきけなかった。


彩名さんのアトリエは、一階のほぼ半分を占める広さだった。

部屋の真ん中に大きな作業用のテーブルがあって、壁いっぱいに生地などの材料を納めた棚が造り付けられている。

反対側の壁には大きなガラス張りの棚。

彩名さんが作ったという人形が色々なポーズをとっていた。


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