龍とわたしと裏庭で①【加筆改訂版】
真夜中の裏庭で

日は沈んだものの、夏至の夜空はまだ明るかった。


「露店が出てるから行ってみる?」

圭吾さんがそう言った。


お祭りの縁日なんて何年ぶりだろう。

中学生の間は一度も行かなかったのは確か。


そう言うと圭吾さんは驚いたような顔をして、

「友達と行かなかったの?」

と聞いた。


「うん、なんとなくね」


「僕もしばらく露店めぐりはしてないよ。二人とも久しぶりってことだね」


手をつなぎ、わたし達は人込みの中に繰り出した。


白熱灯の光りに照らされた縁日の景色は、古い時代の写真のようだった。



わた飴ほしい

チョコバナナ、おいしそう

圭吾さん ねえ、あれ何?



「志鶴、お腹こわすよ」


圭吾さんがおかしそうに注意する。

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