龍とわたしと裏庭で①【加筆改訂版】
2
「どうしても、です。お願いします」
圭吾さんが電話に向かって、頭を下げんばかりに頼んでいる。
相手はうちの親父。
圭吾さんが国際電話をかけて、わたしと結婚したいと親父に言ったのが事の発端だ。
親父は最初に、わたしに電話を代わってくれと言った。
――どうなってるんだ?
どうなってるって言われても……
「圭吾さんのお嫁さんになろうと思って」
――そっちへ行ってまだ三ヶ月だぞ
「だって、圭吾さんがわたしがいいって言うんだもの」
――何かあったのか?
「何かって?」
――つまり……その、何だ、間違いというかなんというか
親父の言い方は歯切れが悪い。
「間違いって何の?」
わたしがそう言った途端に、後ろをウロウロと歩き回っていた圭吾さんが、喉を詰まらせたようにむせた。
――ああ、いい。もう一度、圭吾君に代わってくれ
圭吾さんが電話に向かって、頭を下げんばかりに頼んでいる。
相手はうちの親父。
圭吾さんが国際電話をかけて、わたしと結婚したいと親父に言ったのが事の発端だ。
親父は最初に、わたしに電話を代わってくれと言った。
――どうなってるんだ?
どうなってるって言われても……
「圭吾さんのお嫁さんになろうと思って」
――そっちへ行ってまだ三ヶ月だぞ
「だって、圭吾さんがわたしがいいって言うんだもの」
――何かあったのか?
「何かって?」
――つまり……その、何だ、間違いというかなんというか
親父の言い方は歯切れが悪い。
「間違いって何の?」
わたしがそう言った途端に、後ろをウロウロと歩き回っていた圭吾さんが、喉を詰まらせたようにむせた。
――ああ、いい。もう一度、圭吾君に代わってくれ