龍とわたしと裏庭で①【加筆改訂版】
受話器を渡すと圭吾さんがまくし立てた。
「いいですか? 僕は真面目に言っているんです。不埒な事は何ひとつしていません――ええ、そうです。手も握ってませんよ」
圭吾さん、それは言い過ぎじゃない?
ん? ってことは、親父の言う『間違い』って……
ちょっと!
娘になんて事きくのよ!
「どうしてって、彼女を好きだからです。他に理由なんてありません」
親父も頑なだけど、圭吾さんも粘る粘る。
国際電話って一分いくらかかるんだろ。
かれこれ一時間揉めた末に、貴子伯母様まで加わって、何とか話がまとまったらしい。
「手強かった……」
圭吾さんは、疲れ果てたように頭を抱えて椅子に座り込んだ。
「花嫁の父よ。当然じゃない」
彩名さんがティーポットの紅茶をカップに注ぎながら言った。
「お疲れ様。お話はまとまって?」
「なんとかね」
「圭吾さん、お砂糖入れる?」
わたしがきくと、圭吾さんはゲラゲラと笑い出した。
「いいですか? 僕は真面目に言っているんです。不埒な事は何ひとつしていません――ええ、そうです。手も握ってませんよ」
圭吾さん、それは言い過ぎじゃない?
ん? ってことは、親父の言う『間違い』って……
ちょっと!
娘になんて事きくのよ!
「どうしてって、彼女を好きだからです。他に理由なんてありません」
親父も頑なだけど、圭吾さんも粘る粘る。
国際電話って一分いくらかかるんだろ。
かれこれ一時間揉めた末に、貴子伯母様まで加わって、何とか話がまとまったらしい。
「手強かった……」
圭吾さんは、疲れ果てたように頭を抱えて椅子に座り込んだ。
「花嫁の父よ。当然じゃない」
彩名さんがティーポットの紅茶をカップに注ぎながら言った。
「お疲れ様。お話はまとまって?」
「なんとかね」
「圭吾さん、お砂糖入れる?」
わたしがきくと、圭吾さんはゲラゲラと笑い出した。