龍とわたしと裏庭で①【加筆改訂版】
いかにも挙動不審にウロウロしているうちに、わたしは和子さんと鉢合わせしてしまった。


「志鶴様? どうかなさいましたか?」


「洗濯機を探しているの」


決まり悪かったけれど、この際たらいと洗濯板でも構わないと思い始めていたので、正直に言った。


「まあ、彩名様はお教えしなかったのですね。お洗濯物なら、脱衣所のランドリーバッグにお入れ下さいまし」


「彩名さんは教えてくれたんですけど……そうじゃなくてね。お洗濯は自分でしたいの」


「志鶴様はお預かりしているお嬢様ですから、そういう事は気にされなくてよろしいのですよ」


いや、気を使ってるんじゃないってばっ!


「下着は自分で洗いたいの」


今まで他の人に洗ってもらった事なんてないのよ。


「和子ばあや」

後ろから圭吾さんの声がして、わたしは飛び上がりそうになった。

「慣れない事ばかりでは可哀相だ。好きにさせてやりなさい」


< 24 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop