龍とわたしと裏庭で①【加筆改訂版】
「ねえ、和子さん」
わたしは手にしたお花をじっと見ながら言った。
「何でございますか?」
「ここのお家、仏壇はないの?」
「ございませんよ――志鶴様、もう少し長くお切り下さい」
わたしは心持ち長めに花の茎を落とした。
生け花って難しい。
「当家は、というよりこの辺りのお宅は神道ですから、神棚だけです」
そういえば、通学途中のバスで大きな神社の前を通りかかる。
竜城(たつき)神社といって、龍神様を奉っていると友達が教えてくれた。
「ふうん」
「急にどうなさいました?」
「ママのお仏壇ね、扉を閉めて、うちにそのままなの。お水もご飯も上げてない」
わたしは剣山に小菊を挿した。
「お花も」
和子さんは少し押し黙ってから
「小さな花瓶を差し上げます」
と言った。
わたしは手にしたお花をじっと見ながら言った。
「何でございますか?」
「ここのお家、仏壇はないの?」
「ございませんよ――志鶴様、もう少し長くお切り下さい」
わたしは心持ち長めに花の茎を落とした。
生け花って難しい。
「当家は、というよりこの辺りのお宅は神道ですから、神棚だけです」
そういえば、通学途中のバスで大きな神社の前を通りかかる。
竜城(たつき)神社といって、龍神様を奉っていると友達が教えてくれた。
「ふうん」
「急にどうなさいました?」
「ママのお仏壇ね、扉を閉めて、うちにそのままなの。お水もご飯も上げてない」
わたしは剣山に小菊を挿した。
「お花も」
和子さんは少し押し黙ってから
「小さな花瓶を差し上げます」
と言った。