龍とわたしと裏庭で①【加筆改訂版】
「下級生で竜田川美月(たつたがわ みつき)って子」


1年A組のその子は人目を引く美少女で、いつも大勢の友達に囲まれている。

どういうわけか最初っからわたしに敵意むき出しで、会うたびに聞こえよがしにイヤミな事をチクチクと言ってくる。


「ああ、あの娘か」


「従妹だって言うんじゃないでしょうね」


「遠縁だよ。縁戚っていうとこかな」


またか。親戚じゃない人ってこの町にいるのかしら


「その子が闘龍の話をしてきて、あんまりにも当てこすりみたいな事を言うから頭にきちゃったの」


「それで闘龍をやろうと思ったのか」


「ええと……そうじゃなくてね」


「そうじゃない?」


「売り言葉に買い言葉で、闘龍くらいできるって、自分の龍くらい持ってるって言っちゃった」


圭吾さんは呆気にとられたような顔をした。


そうだよね、自分でも馬鹿だと思うもの


「そう言ったのか? 闘龍がどんなものか知らないのに?」

< 52 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop