龍とわたしと裏庭で①【加筆改訂版】
「人の行動には、それぞれ他人には分からない理由があるものだ」


それって、わたしのどこかが彼女のカンに障るってことなのかなぁ

特別悪いことをしているわけじゃないのに誰かに嫌われるって……ちょっとへこむ


「圭吾さんは大会に出ないの?」


「うん。僕も中学までは、やっていたんだけどね――少し歩く?」


わたしは頷いて、差し出された圭吾さんの手に自分の手を預けた。


「ここは、祖父が祖母のために造った庭なんだ。祖母も若い頃は闘龍をやっていてね、かなり熱心だったらしい」


「綺麗なお庭だわ」


「そうだね。でも出入りがしづらいだろ? どうしてこんな作りにしたのか、さっきまでずっと疑問だった」


さっきまで?


「今は分かるの?」


「志鶴を連れてきてやっと分かった」

圭吾さんはそう言ってニッコリと笑った。

「祖父は祖母を独り占めにしたかったんだね。だってここなら、誰にも邪魔されないもの」

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