龍とわたしと裏庭で①【加筆改訂版】
「美幸と話したいって」


「えっマジ? うわぁ 緊張する」


思いっきりよそいきの声で電話に出た美幸は、何かの線について話してる。

『西の青の線』とか『南の赤』っていったい何?


「ええ、そうです。分かりました。どういたしまして――志鶴、はい」


戻された電話に出ると、迎えに行くからここで待ってるように言われた。


「ねえ、『線』って何?」


わたしが聞くと、みんながまちまちな答えを言った。


地図の緯度経度みたいなもの

道路地図のようなもの

ネットワークみたいなもの

センサーみたいなもの


「美幸は見えるのよね」と亜由美が言う。「わたしは全然だけど」


「見えてもそれほどメリットないわよ。強い人だと移動できるってきいてる。おばあちゃんはそうだったみたい」


「ねえ、わたしには何がなんだか」


みんなはまた顔を見合わせた。


もう! 残念な人みたいに見ないでよっ!


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