龍とわたしと裏庭で①【加筆改訂版】
「ねえ、圭吾さん」
二人っきりになってから、わたしは口を開いた。
「ん? 何?」
「みんながさっき言ってたんだけど……圭吾さんが龍神様の子孫だって」
「ああ、よくある昔話だよ。海を鎮めるために毎年若い娘が生贄(いけにえ)になる。村で最後に残った娘は海から生きて帰って来た。龍神の子を身篭って。娘は竜宮に帰らず、生まれた子供が羽竜の始祖となった――そんな話だ」
「『線』ってみんなが言うのは?」
圭吾さんは横目でチラッとわたしを見た。
「一種のお祓いとか、結界みたいなものだよ。羽竜家は――そうだな、神主みたいなものかな。神社を守って、お祓いのような事もするよ」
圭吾さんの口調はどこか淡々としていて、昔からの迷信だと言っているみたい。
でも、さっき、友達は本気で言っていたと思う。
「他にも言われた事があるの。わたし、圭吾さんのお嫁さんになるのに来たと思われてるんだって。知ってた?」
「ああ知っているよ」
圭吾さんはサラっと認めた。
「知ってたの?!」
二人っきりになってから、わたしは口を開いた。
「ん? 何?」
「みんながさっき言ってたんだけど……圭吾さんが龍神様の子孫だって」
「ああ、よくある昔話だよ。海を鎮めるために毎年若い娘が生贄(いけにえ)になる。村で最後に残った娘は海から生きて帰って来た。龍神の子を身篭って。娘は竜宮に帰らず、生まれた子供が羽竜の始祖となった――そんな話だ」
「『線』ってみんなが言うのは?」
圭吾さんは横目でチラッとわたしを見た。
「一種のお祓いとか、結界みたいなものだよ。羽竜家は――そうだな、神主みたいなものかな。神社を守って、お祓いのような事もするよ」
圭吾さんの口調はどこか淡々としていて、昔からの迷信だと言っているみたい。
でも、さっき、友達は本気で言っていたと思う。
「他にも言われた事があるの。わたし、圭吾さんのお嫁さんになるのに来たと思われてるんだって。知ってた?」
「ああ知っているよ」
圭吾さんはサラっと認めた。
「知ってたの?!」