龍とわたしと裏庭で①【加筆改訂版】
「おかげで見合い話が激減した。まあ、まだ懲りずに持って来る人もいるけど」

圭吾さんは面白がるように言った。

「それに志鶴は気づいてないだろうけど、和子ばあやもそのつもりみたいだよ」


ええっ!


「どうしてそうなるの?」


「さあ。君といると僕の機嫌がいいから、すぐに逃げ出す見合い相手よりはマシだと思ってるんじゃないか?」


マシ?

ひどっ!


「言われてみると、志鶴が相手だとメリットが多いんだよな」


メリットぉ?


「ちょっ ちょっ ちょっと待って!」


圭吾さんは路肩に車を止めて、わたしを見た。


「嫁に来てくれるのなら待つのはかまわないけど?」


「いや、そうじゃなくてっ!」


「そう? 残念だな。志鶴でいいかと思いはじめてるのに」


「『でいいか』なんて言われて喜ぶ女の子なんていないわよ!」

< 68 / 142 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop