龍とわたしと裏庭で①【加筆改訂版】
姉弟ゲンカ?
わたしは、ドアをほんの少し開けた。
二人の姿は見えない。
「お母様は騙せても、わたしはそうは行かなくってよ。羽竜の娘ですもの」
「少し疲れているだけだよ。騒ぎすぎだ」
圭吾さんが険しい声で答える。
「叔父様や司に手伝ってもらえばいいじゃない」
「できない」
「いつまで仲違いすれば気が済むの。 もう、司を許しておやりなさい」
「許してるよ!」
圭吾さんが怒鳴るように言った。
「とっくの昔に許してる!」
「それなら――」
「今更どの面下げて手伝ってくれって頼める? あれだけのケンカをしたのに!」
圭吾さんの声に、わたしは思わず身を縮めた。
親父が物静かなタイプだったので、わたしは男の人が声を荒げるのを見たことがないのだ。
「でも、このままじゃお父様の二の舞よ」
彩名さんは、圭吾さんの怒鳴り声をものともせずに食い下がった。
わたしは、ドアをほんの少し開けた。
二人の姿は見えない。
「お母様は騙せても、わたしはそうは行かなくってよ。羽竜の娘ですもの」
「少し疲れているだけだよ。騒ぎすぎだ」
圭吾さんが険しい声で答える。
「叔父様や司に手伝ってもらえばいいじゃない」
「できない」
「いつまで仲違いすれば気が済むの。 もう、司を許しておやりなさい」
「許してるよ!」
圭吾さんが怒鳴るように言った。
「とっくの昔に許してる!」
「それなら――」
「今更どの面下げて手伝ってくれって頼める? あれだけのケンカをしたのに!」
圭吾さんの声に、わたしは思わず身を縮めた。
親父が物静かなタイプだったので、わたしは男の人が声を荒げるのを見たことがないのだ。
「でも、このままじゃお父様の二の舞よ」
彩名さんは、圭吾さんの怒鳴り声をものともせずに食い下がった。